≪RSウイルス感染症≫

あまりなじみのない名前のウイルスですが、小さい子どもほど重くなりやすいウイルスによる呼吸器の感染症で、肺炎の原因となります。かぜのような軽い症状も含めて多くの子どもがかかります。乳幼児では細気管支炎、肺炎など重症化しやすく、また乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられており、注意が必要な感染症です。感染力が非常に高く、一方では免疫の出来方が弱いためくり返し感染します。ただし回数がふえるほど軽くなり、2歳以上では「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。

「インフルエンザ」や他のウイルス感染症と区別する為に、鼻の粘液を採取し、短時間で判定を得ることが出来る検査もあります(健康保険での制約があり、赤ちゃんの入院のみ適応)。

 

症状の現れ方

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 感染後4〜5日の潜伏期ののち、鼻汁、咳(せき)、発熱などの上気道症状が現れます。3割程度の人はこのあと炎症が下気道まで波及して、気管支炎や細気管支炎(さいきかんしえん)を発症し、咳の増強、呼気性の喘鳴(ぜんめい)(ぜいぜいする)、多呼吸などが現れてきます。

 すべての患者さんの1〜3%が重症化し、入院治療を受けます。心肺に基礎疾患がある小児は重症化しやすいとされます。通常は数日〜1週間で軽快します。

 新生児も感染して発症し、がんこな無呼吸を起こすことがあるので注意が必要です。また、細気管支炎にかかったあとは、長期にわたって喘鳴を繰り返しやすいといわれています。

 

検査と診断

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 冬季に乳児が鼻汁、咳に引き続いて「ぜいぜい」してきたような場合には、その30〜40%がRSウイルス感染症によると考えられます。鼻汁材料を用いたRSウイルスの抗原検出キットが使用可能ですが、3歳未満の入院児のみが検査の適応になります。

 

タンが詰まったゼイゼイするせき

ゼーゼーのどが鳴る音(喘鳴)

発熱

数時間で突然重症化することがある

 (細気管支炎)

 

だれもが子どもの頃にひいたことのある冬の「かぜ」ですが、喘息のような苦しそうな咳と喘鳴(ぜいめい)が特徴で、治りにくいため長期にわたって症状が続きます。乳幼児では下気道炎や細気管支炎を起こしやすく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられています。喘息や心疾患を持っている子どもでは特に重症化しやすく、持病の増悪につながるため注意が必要です。

子どもの「かぜ」はポピュラーな病気で、そのほとんどは軽くすみますが、「かぜ」は万病のもと。症状の変化には注意しましょう。

感染力が強く、飛沫と接触感染の両方で感染する。

一度かかっても免疫ができにくく、くり返し感染しながら徐々に免疫ができてくる。

36ヶ月ぐらいの乳児は免疫力が弱く重症化しやすい(母親からの免疫がなくなる時期)。

呼吸機能が未発達な低出生体重児における新生児・乳児期の感染は重症化しやすいと言われている。

乳児の場合は呼吸数に注意(通常1分間に40回程度、60回近くなると要注意)。

喘息や先天性心疾患を持つ小さい子どもは重症化しやすい。

   

治療の方法

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 対症療法が主体になります。発熱に対しては冷却とともに、アセトアミノフェン(カロナール)などの解熱薬を用います。喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては鎮咳去痰(ちんがいきょたん)薬や気管支拡張薬などを用います。

 脱水気味になると、喀痰(かくたん)が粘って吐き出すのが困難になるので、水分の補給に努めます。細菌感染の合併が疑われる場合は抗生剤を使用します。

 

RSウイルス感染症」に効果のあるワクチンはなく、また治療薬も特殊なもので通常は使用されないため、多くの場合は症状を抑える対症療法がほとんどです。他の「かぜ」と同じく、水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静にして経過をみることになります。

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